在庫削減|技術士 経営工学 Ⅱ-2型答案練習
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在庫削減は、単に在庫金額を減らす活動ではありません。欠品を防ぎながら、需要変動、リードタイム、生産計画、販売計画、調達制約を踏まえて、適正在庫を維持する活動です。
過剰在庫を減らせば、在庫回転率の向上、キャッシュフロー改善、保管スペース削減、廃棄・陳腐化リスク低減につながります。一方で、在庫を一律に減らすと欠品や納期遅延を招きます。販売、生産、購買、物流が連携し、サプライチェーン全体最適の観点で進めることが重要です。
想定設問
製造業において、製品在庫や仕掛品在庫が増加し、保管スペース、資金負担、陳腐化リスクが問題となっている。一方で、在庫を削減しすぎると欠品や納期遅延が発生するおそれがある。このような状況で、欠品を防ぎつつ在庫削減を進める業務を担当する場合、どのように進めるか。調査・検討すべき事項、業務の進め方、留意点および工夫点を述べよ。
選択科目Ⅱ-2型を想定し、1200字以内で解答します。
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この設問で求められていること:
- 在庫を減らすだけでなく、欠品を防ぐこと
- 在庫増加の要因を調査すること
- 需要、リードタイム、生産計画、調達条件を分析すること
- 販売、生産、購買、物流との調整を行うこと
- 改善後の効果をKPIで確認すること
答案で外してはいけない点:
- 欠品リスクへの配慮
- 部門最適ではなく全体最適
- 安全在庫や発注点の根拠
- 需要予測やS&OPとの接続
- 在庫削減後の効果確認
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主要キーワード:
- 在庫回転率
- ABC分析
- 安全在庫
- 需要予測
- MRP
- S&OP
- デカップリングポイント
- リードタイム短縮
- SKU管理
- 欠品率
- 納期遵守率
- 在庫最適化
| キーワード | 使いどころ |
|---|---|
| 在庫回転率 | 在庫削減効果を測るKPI |
| ABC分析 | 重点管理品目を選定する |
| 安全在庫 | 欠品防止と在庫削減のバランスを取る |
| 需要予測 | 適正在庫の前提となる需要を見積もる |
| MRP | 資材所要量と発注計画を整合させる |
| S&OP | 販売計画・生産計画・在庫計画を連携させる |
| デカップリングポイント | 見込生産と受注生産の切り分けを検討する |
| リードタイム短縮 | 必要在庫量を下げる前提条件になる |
答案骨子を作る
調査、検討事項
- 品目別在庫量、在庫金額、在庫回転率を確認する
- ABC分析で重点品目を抽出する
- 欠品率、納期遵守率、廃棄・滞留在庫を確認する
- 需要変動、販売計画、生産計画、調達リードタイムを確認する
- 安全在庫や発注点の設定根拠を確認する
分析、方針設定
- 過剰在庫の要因を、需要予測誤差、ロットサイズ、長いリードタイム、計画連携不足に分けて分析する
- 品目をABC分類し、重点品目から改善対象を選定する
- 欠品を許容しない品目と、在庫削減余地のある品目を分ける
- 在庫回転率、欠品率、納期遵守率などのKPIを設定する
実施手順
- 重点品目の安全在庫と発注点を見直す
- MRPや生産計画と連動して発注量・生産ロットを見直す
- S&OPを通じて販売計画・生産計画・在庫計画を定期的に整合させる
- 長期滞留品や廃番品の処理ルールを整備する
- 試行後に対象品目を段階的に拡大する
留意点、工夫点
- 在庫削減を急ぎすぎて欠品や納期遅延を起こさない
- 安全在庫を一律に削減しない
- 需要変動が大きい品目はバッファを残す
- 品目特性に応じて管理水準を変える
- 現場が使いやすい在庫基準にする
関係者調整(サプライチェーン全体)
- 販売部門と需要情報を共有する
- 生産管理部門と生産計画を調整する
- 購買部門と調達リードタイムや発注条件を確認する
- 物流部門と保管スペースや出荷頻度を調整する
- サプライヤーと納入頻度、最小発注量、納期を調整する
- 顧客要求納期も踏まえて全体最適を図る
効果確認
- 在庫回転率、在庫金額、欠品率、納期遵守率を定期的に確認する
- 長期滞留在庫、廃棄率、保管スペース使用率を確認する
- 改善後も需要変動に応じて安全在庫を見直す
- KPIを使ってPDCAを回す
1200字以内で答案を書く
答案例:約1170字
見込み生産型企業で在庫削減を進める際は、在庫金額の圧縮だけを目的とせず、欠品防止と納期遵守を両立させる必要がある。まず調査・検討事項として、品目別の在庫量、在庫金額、在庫回転率、長期滞留在庫、廃棄実績を把握する。あわせて、欠品率、納期遵守率、販売計画、生産計画、調達リードタイム、生産ロット、安全在庫、発注点の設定根拠を確認する。完成品、仕掛品、原材料を分け、SKU別の需要変動、廃棄リスク、保管スペース使用率も確認し、どの在庫が資金負担やスペース不足を生んでいるかを明らかにする。さらにABC分析により、金額影響や需要変動が大きい重点品目を抽出し、改善対象を絞り込む。
次に、過剰在庫の要因を分析する。需要予測誤差、販売計画と生産計画の不整合、過大な生産ロット、長い調達リードタイム、廃番品の処理遅れなどに分け、品目特性ごとに改善方針を定める。改善対象は、在庫削減効果、欠品時の影響、改善の実行容易性を踏まえて優先順位を付ける。欠品を許容しにくい重要品目はサービス水準を維持し、需要が安定する品目や滞留品は在庫削減余地を重点的に検討する。KPIとして、在庫回転率、在庫金額、欠品率、納期遵守率、保管スペース使用率を設定する。
実施手順として、まず重点品目の安全在庫と発注点を見直す。需要変動と調達リードタイムを考慮し、経験値ではなくデータに基づく基準に改める。次にMRP条件、発注ロット、生産ロット、補充頻度を見直し、生産計画と発注計画を整合させる。販売計画、生産計画、在庫計画はS&OPの場で定期的に整合させ、需要変動や販促情報を早期に共有する。長期滞留品、廃番品、低回転品は処分、転用、販売促進などのルールを整備し、まず重点品目で試行したうえで対象品目を段階的に拡大する。
留意点として、安全在庫を一律に削減すると欠品や納期遅延を招くため、品目の重要度、需要変動、供給リスクに応じて管理水準を変える。需要変動が大きい品目や調達リードタイムが長い品目は、一定のバッファを残す。また、在庫削減が購買の小口発注増、物流費増、現場負荷増につながらないよう、全体最適で判断する。
関係者調整として、販売部門とは需要情報や販促計画を共有し、生産管理部門とは生産計画と能力制約を調整する。購買部門、物流部門、品質保証部門、サプライヤーとは、発注条件、納入頻度、最小発注量、保管スペース、品質確認期間を確認し、顧客要求納期を踏まえて合意形成する。部門ごとの在庫削減目標だけで判断せず、サプライチェーン全体のQCDが悪化しないようにする。改善後は在庫回転率、在庫金額、欠品率、納期遵守率、長期滞留在庫、保管スペース使用率を月次で確認し、在庫削減効果と欠品リスクを両面から評価する。需要変動が変わった場合は安全在庫や発注点を見直し、PDCAにより継続的に改善する。
留意点と工夫点を確認する
留意点:
- 在庫削減だけを目的化しない
- 欠品率や納期遵守率の悪化を防ぐ
- 安全在庫を一律に削減しない
- 需要変動や調達リスクを考慮する
- 販売・生産・購買の部門最適を避ける
工夫点:
- ABC分析で重点品目から着手する
- 在庫回転率と欠品率をセットで見る
- S&OPで定期的に計画を見直す
- MRPと実需情報を照合する
- デカップリングポイントを見直す
- サプライヤーと納入頻度やロットを調整する
自己チェックする
- 調査、検討事項で、在庫量・在庫金額・在庫回転率・欠品率を確認しているか
- 分析、方針設定で、過剰在庫の要因を分解しているか
- 実施手順で、安全在庫、発注点、MRP、生産計画の見直しに触れているか
- 留意点、工夫点で、欠品や納期遅延のリスクに触れているか
- 関係者調整で、販売、生産、購買、物流、サプライヤーを考慮しているか
- 効果確認で、在庫回転率、欠品率、納期遵守率などのKPIに触れているか
- 1200字以内で、設問の要求に過不足なく答えているか