設備ロス改善|技術士 経営工学 Ⅱ-2型答案練習
テーマを確認する
設備ロス改善は、単に設備稼働率を上げる活動ではありません。停止ロス、性能ロス、品質ロスを分解し、保全、段取、作業条件、品質安定化を含めて、設備を安定的に使える状態にする活動です。
OEEでロス構造を可視化し、故障、チョコ停、速度低下、立上げ不良、段取時間などを重点的に確認します。ただし、設備を動かし続けることだけを目的にすると、過剰生産、品質悪化、安全リスクにつながります。品質、安全、納期とのバランスを取りながら改善することが重要です。
想定設問
製造業において、生産設備の停止、速度低下、不良発生により設備総合効率が低下し、生産性や納期に影響が出ている。このような状況で、設備ロス改善を進める業務を担当する場合、どのように進めるか。調査・検討すべき事項、業務の進め方、留意点および工夫点を述べよ。
選択科目Ⅱ-2型を想定し、1200字以内で解答します。
問題文を読み取る
この設問で求められていること:
- 設備ロスを一括りにせず、停止ロス、性能ロス、品質ロスに分けること
- OEEを使って重点設備・重点ロスを特定すること
- 保全、段取、品質、作業条件の観点から改善すること
- 改善が過剰生産や現場負荷増につながらないようにすること
- 改善後の効果をKPIで確認すること
答案で外してはいけない点:
- OEEのロス分類
- 安全と品質への配慮
- 保全、製造、品質保証、生産管理との連携
- 設備単体ではなく、生産計画や納期との整合
- 改善後の標準化と効果確認
使うキーワードを選ぶ
主要キーワード:
- OEE
- 停止ロス
- 性能ロス
- 品質ロス
- TPM
- 予防保全
- 予知保全
- 段取短縮
- SMED
- MES
- KPI管理
- 標準作業
- 設備条件管理
| キーワード | 使いどころ |
|---|---|
| OEE | 設備ロスを可視化する総合指標 |
| 停止ロス | 故障、段取、チョコ停などの分析 |
| 性能ロス | 速度低下や空転の分析 |
| 品質ロス | 設備起因不良や立上げ不良の分析 |
| TPM | 現場参加型の設備管理 |
| 予防保全 | 故障前に保全する仕組み |
| SMED | 段取時間短縮に使う |
| MES | 稼働データの収集・可視化に使う |
答案骨子を作る
調査、検討事項
- 設備別のOEE、稼働率、停止時間、不良率を確認する
- 停止ロス、性能ロス、品質ロスに分類する
- 故障履歴、保全履歴、段取時間、チョコ停、立上げ不良を確認する
- 作業条件、設備条件、材料条件、作業者スキルを確認する
- 安全、品質、納期への影響を確認する
分析、方針設定
- OEEの低い重点設備を選定する
- ロス別に改善効果と実施容易性を評価する
- 故障起因、段取起因、品質起因、作業条件起因に分ける
- 改善目標をOEE、停止時間、不良率、段取時間などで設定する
実施手順
- 重点設備から改善を始める
- 保全基準、点検周期、異常検知方法を見直す
- 段取作業を内段取・外段取に分けて短縮する
- 設備条件と作業条件を標準化する
- MES等で稼働データを収集し、日次・週次で確認する
- 効果の出た改善を他設備へ展開する
留意点、工夫点
- OEE向上だけを目的化しない
- 過剰生産を避ける
- 安全や品質を犠牲にしない
- 現場が記録しやすい仕組みにする
- 保全部門だけに任せず、製造・品質・生産管理と連携する
関係者調整(サプライチェーン全体)
- 製造部門と改善対象設備を選定する
- 保全部門と保全計画を調整する
- 品質保証部門と設備起因不良を確認する
- 生産管理部門と生産計画・停止可能時間を調整する
- 設備メーカーや部品サプライヤーと保守部品・技術支援を調整する
効果確認
- OEE、停止時間、段取時間、不良率、生産量、納期遵守率を確認する
- 改善後もロス構造が変化していないか確認する
- KPIを定期確認し、保全計画や作業標準を更新する
1200字以内で答案を書く
答案例:約1110字
設備ロス改善を進める際は、単に稼働率を上げるのではなく、停止ロス、性能ロス、品質ロスを分解し、安全、品質、納期と両立させる必要がある。まず調査・検討事項として、設備別のOEE、稼働率、停止時間、チョコ停回数、速度低下、不良率、立上げ不良、段取時間を確認する。あわせて、故障履歴、保全履歴、点検基準、作業条件、設備条件、材料条件、作業者スキルを確認し、生産計画や納期への影響を把握する。
次に、OEEの低い重点設備を選定し、ロスを故障起因、段取起因、性能低下起因、品質起因、作業条件起因に分けて分析する。改善対象は、改善効果、発生頻度、実施容易性、安全・品質への影響を踏まえて優先順位を付ける。KPIとして、OEE、停止時間、段取時間、不良率、計画達成率、納期遵守率を設定し、設備を止めないことだけを目的にしない方針を明確にする。さらに、需要量や生産計画と照合し、改善効果が実際の納期改善や残業削減につながる設備を優先する。慢性的なロスと突発的なロスを分け、短期対策と保全計画の見直しを組み合わせる。
実施手順として、まず重点設備で日次のロス記録を整備し、MESや作業日報により停止理由と発生時刻を可視化する。故障ロスには予防保全や点検周期の見直しを行い、交換部品や保守部品の管理を整備する。段取ロスにはSMEDを用い、内段取と外段取を分け、治具、工具、条件設定を標準化する。性能ロスには設備条件、速度条件、材料供給方法を見直し、品質ロスには立上げ条件や検査基準を確認する。対策は小さく試行し、日次ミーティングでロスの変化と現場負荷を確認する。効果が確認できた対策は作業標準と保全基準に反映し、教育したうえで他設備へ段階展開する。
留意点として、OEE向上だけを追うと需要を超えた過剰生産や仕掛増を招くため、生産計画と連動して改善する。また、安全装置の無効化や点検省略により安全・品質を損なわないようにする。現場の記録負荷が過大にならないよう、選択式のロス分類や自動収集を活用する。
関係者調整として、製造部門とは改善対象設備と作業条件を確認し、保全部門とは保全計画と停止可能時間を調整する。品質保証部門とは設備起因不良を確認し、生産管理部門とは生産計画、納期、試行時間を調整する。設備メーカーや部品サプライヤーとは技術支援、保守部品、改造可否を確認する。改善後はOEE、停止時間、不良率、段取時間、納期遵守率を週次・月次で確認し、ロス構造の変化を見ながら保全基準と作業標準を更新する。改善効果が生産量だけでなく、残業、仕掛、納期、品質にも表れているかを確認する。再発ロスが出た場合は原因を再分析し、設備ロス改善を継続的に進める。
留意点と工夫点を確認する
留意点:
- OEE向上を過剰生産につなげない
- 安全と品質を犠牲にしない
- 設備単体最適にしない
- データ記録が現場負荷になりすぎない
工夫点:
- OEEを停止・性能・品質ロスに分解する
- 重点設備から着手する
- 点検基準と異常検知を標準化する
- 段取作業を内段取・外段取に分ける
- MES等でデータを可視化する
自己チェックする
- OEEとロス分類を使っているか
- 停止ロス、性能ロス、品質ロスを分けているか
- 保全、段取、品質、作業条件を含めているか
- 過剰生産、安全、品質への留意があるか
- 製造、保全、品質、生産管理、設備メーカーとの調整があるか
- 効果確認でOEE、停止時間、不良率、段取時間などを使っているか
- 1200字以内で、設問の要求に過不足なく答えているか