管理図スタディガイド

更新: 2025-09-17v1.0.0編集する

管理図スタディガイド

管理図は工程が**統計的に安定(管理状態)**かを監視し、**異常変動(特殊原因)**を早期に検知するツールです。
このガイドでは、データ型に応じた代表的な 4 種(X̄–R / np / p / u)の選び方・読み方を整理します。

必要に応じて、管理図の元データを JSON として /public/data/xxx.json に置き、
<ControlChart src="/data/xxx.json" srcKey="p" /> のように外部JSONからも読み込めます


1. どれを使う?(最短フロー)

  • 計量値(連続値:寸法・重量・濃度など)
    • X̄–R 管理図:サブグループ平均(X̄)と範囲(R)で中心とばらつきを同時監視
  • 計数値(合否・不適合の個数/率)
    • np 管理図サンプルサイズ一定のときの不適合品個数を監視
    • p 管理図サンプルサイズが変動するときの不適合率を監視
    • u 管理図:単位当たり欠点数(例:1 枚当たりのキズ数)を監視

迷ったら:
連続値 → X̄–R/合否カウント(n一定)→ np/合否率(n変動)→ p/欠点数/単位 → u


2. 管理図の基本(式と読み方)

  • 管理限界線(UCL/LCL):通常 CL ± 3σ(約 99.7% 範囲)
  • 管理外れ:限界外の点や、連続片寄り・トレンド等の異常パターン出現時は原因究明

2.1 X̄–R 管理図(計量)

  • 中心線(CL):X,  R\,\overline{\overline{X}},\; \overline{R}\,X,R
  • 限界例:UCLXˉ=X+A2R,  LCLXˉ=XA2R\,\mathrm{UCL}_{\bar X}=\overline{\overline{X}}+A_2\overline{R},\; \mathrm{LCL}_{\bar X}=\overline{\overline{X}}-A_2\overline{R}UCLXˉ=X+A2R,LCLXˉ=XA2R
  • ばらつき:UCLR=D4R,  LCLR=D3R\,\mathrm{UCL}_R=D_4\overline{R},\; \mathrm{LCL}_R=D_3\overline{R}UCLR=D4R,LCLR=D3R

2.2 np 管理図(個数・n一定)

  • CL=npˉ=npˉ\,\mathrm{CL}= \bar{np}=n\bar{p}CL=npˉ=npˉ
  • UCL/LCL=npˉ±3npˉ(1pˉ)\,\mathrm{UCL/LCL}= \bar{np} \pm 3\sqrt{n\bar{p}(1-\bar{p})}UCL/LCL=npˉ±3npˉ(1pˉ)

2.3 p 管理図(割合・n変動可)

  • CL=pˉ\,\mathrm{CL}= \bar{p}CL=pˉ
  • UCL/LCL=pˉ±3pˉ(1pˉ)ni\,\mathrm{UCL/LCL}= \bar{p} \pm 3\sqrt{\dfrac{\bar{p}(1-\bar{p})}{n_i}}UCL/LCL=pˉ±3nipˉ(1pˉ)
    (ポイント:各点ごとの nin_ini を使う

2.4 u 管理図(単位当たり欠点数)

  • CL=uˉ\,\mathrm{CL}= \bar{u}CL=uˉ
  • UCL/LCL=uˉ±3uˉni\,\mathrm{UCL/LCL}= \bar{u} \pm 3\sqrt{\dfrac{\bar{u}}{n_i}}UCL/LCL=uˉ±3niuˉ

3. 典型的な判断のしかた

  1. 点が UCL/LCL を超えた → 特殊原因の疑い(工程・設備・材料・作業の変化を確認)
  2. 連続片寄り(例:同側 7 点連続)やトレンド → ドリフト・シフトの疑い
  3. R(ばらつき)だけ増大 → 工具摩耗・測定系の問題などを疑う

4. 用語ミニ辞典

  • 管理状態:偶然原因のみで変動している状態
  • 特殊原因:特定要因による一時的・系統的な変動(対策で除去可能)
  • 多重比較:管理外れ後の要因特定で使う検定群(本ガイドでは割愛)

5. 理解度チェック(Q&A)