管理図スタディガイド
管理図は工程が**統計的に安定(管理状態)**かを監視し、**異常変動(特殊原因)**を早期に検知するツールです。
このガイドでは、データ型に応じた代表的な 4 種(X̄–R / np / p / u)の選び方・読み方を整理します。
必要に応じて、管理図の元データを JSON として
/public/data/xxx.json
に置き、
<ControlChart src="/data/xxx.json" srcKey="p" />
のように外部JSONからも読み込めます。
1. どれを使う?(最短フロー)
- 計量値(連続値:寸法・重量・濃度など)
- X̄–R 管理図:サブグループ平均(X̄)と範囲(R)で中心とばらつきを同時監視
- 計数値(合否・不適合の個数/率)
- np 管理図:サンプルサイズ一定のときの不適合品個数を監視
- p 管理図:サンプルサイズが変動するときの不適合率を監視
- u 管理図:単位当たり欠点数(例:1 枚当たりのキズ数)を監視
迷ったら:
連続値 → X̄–R/合否カウント(n一定)→ np/合否率(n変動)→ p/欠点数/単位 → u
2. 管理図の基本(式と読み方)
- 管理限界線(UCL/LCL):通常 CL ± 3σ(約 99.7% 範囲)
- 管理外れ:限界外の点や、連続片寄り・トレンド等の異常パターン出現時は原因究明
2.1 X̄–R 管理図(計量)
- 中心線(CL): X‾‾, R‾ \,\overline{\overline{X}},\; \overline{R}\,X,R
- 限界例: UCLXˉ=X‾‾+A2R‾, LCLXˉ=X‾‾−A2R‾\,\mathrm{UCL}_{\bar X}=\overline{\overline{X}}+A_2\overline{R},\; \mathrm{LCL}_{\bar X}=\overline{\overline{X}}-A_2\overline{R}UCLXˉ=X+A2R,LCLXˉ=X−A2R
- ばらつき: UCLR=D4R‾, LCLR=D3R‾\,\mathrm{UCL}_R=D_4\overline{R},\; \mathrm{LCL}_R=D_3\overline{R}UCLR=D4R,LCLR=D3R
2.2 np 管理図(個数・n一定)
- CL=npˉ=npˉ\,\mathrm{CL}= \bar{np}=n\bar{p}CL=npˉ=npˉ
- UCL/LCL=npˉ±3npˉ(1−pˉ)\,\mathrm{UCL/LCL}= \bar{np} \pm 3\sqrt{n\bar{p}(1-\bar{p})}UCL/LCL=npˉ±3npˉ(1−pˉ)
2.3 p 管理図(割合・n変動可)
- CL=pˉ\,\mathrm{CL}= \bar{p}CL=pˉ
- UCL/LCL=pˉ±3pˉ(1−pˉ)ni\,\mathrm{UCL/LCL}= \bar{p} \pm 3\sqrt{\dfrac{\bar{p}(1-\bar{p})}{n_i}}UCL/LCL=pˉ±3nipˉ(1−pˉ)
(ポイント:各点ごとの nin_ini を使う)
2.4 u 管理図(単位当たり欠点数)
- CL=uˉ\,\mathrm{CL}= \bar{u}CL=uˉ
- UCL/LCL=uˉ±3uˉni\,\mathrm{UCL/LCL}= \bar{u} \pm 3\sqrt{\dfrac{\bar{u}}{n_i}}UCL/LCL=uˉ±3niuˉ
3. 典型的な判断のしかた
- 点が UCL/LCL を超えた → 特殊原因の疑い(工程・設備・材料・作業の変化を確認)
- 連続片寄り(例:同側 7 点連続)やトレンド → ドリフト・シフトの疑い
- R(ばらつき)だけ増大 → 工具摩耗・測定系の問題などを疑う
4. 用語ミニ辞典
- 管理状態:偶然原因のみで変動している状態
- 特殊原因:特定要因による一時的・系統的な変動(対策で除去可能)
- 多重比較:管理外れ後の要因特定で使う検定群(本ガイドでは割愛)